肉料理のイメージが強い韓国ですが、焼魚も日常の食卓に並びます。日本では大根おろしが添えられたり、醤油をかけていただきますが、韓国ではわさび醤油につけて食べることが多いようです。そんな韓国の焼魚の食べ方をここでご紹介します。
ここでは韓国への旅のなかでも知ることができる、ソウル・釜山やそのほかの地方で焼魚を味わったお話をお伝えします。
ソウルで味わう焼魚
韓国の首都・ソウルでも焼魚が食べられるところがあります。そのなかでも最もわかりやすく、旅行客にも身近な場所は東大門の路地裏です。
広蔵市場から東大門ファッションタウンへと抜けていくと、新進市場とよばれる細い路地があり、ここにタッカンマリ横丁と焼魚通りがあります。参考:東大門タッカンマリ通り~タッカンマリも焼魚もここで!(韓旅専科)
店先でモクモクと煙が立ちのぼり、少しばかり焦げたような香ばしい焼魚の香りが漂ってきます。日本の下町にもあるような、昔ながらの横丁の雰囲気。レトロな味わいが存分に感じられます。
大都会ソウル・東大門の路地だけに多くの人が行き来するこの通り。店先では一度火を通した魚が積まれるように置いてあり、お客さんからの注文が入ると、再びコンロの上にのせて焼きはじめます。
焼魚の食堂での魚の種類は「サバ(고등어、コドゥンオ)、サンマ(꽁치、コンチ)、サワラ(삼치、サムチ)、クルビ(굴비、イシモチ)、お店によってはホッケ(이면수、イミョンス)」があります。
一般的な食堂で味わえる焼魚はこのくらいの種類です。刺身店にいくとサンマはつきだしで無料で出てきたりしますし、秋になるとコノシロ(전어、チョノ)を食べたりもします。
そして焼魚にはワサビ醤油を付けて食べるという点は日本と少し異なります。ソウルで焼魚定食を食べると、大体7,000〜8,000ウォン(約700〜800円)ほどが相場です。それでも焼魚の定食にはおかずも4~5品はつくので、バランスの良い食事ができますね。
次に韓国の第2の都市、釜山での焼き魚事情を見ていきましょう。
釜山で味わう焼魚
海に面した釜山では、ソウル以上に魚を味わえるといえます。やはり食堂や居酒屋にも魚のメニューが多いのです。
そのなかでも日本からの旅行客でも訪れやすい場所が、水産市場・チャガルチ市場の周辺。海辺に面した活気ある市場の脇の食堂では焼魚が味わえます。
やはりソウルのお店と同じように、店先で魚を焼いていて、お客さんの注文が入ると再び焼いて出してくれます。
5000ウォン〜6000ウォン(約500〜600円)で食べられる食堂もあるにはありますが、お店によっては付け合せのおかずの種類がソウルよりも多かったり、具材も美味しかったりするため8000〜10000ウォン(800円〜1000円)ほどです。
それでも食べて見ると十分に満足できる分量が出てきます。海辺の釜山に行っても焼き魚はおすすめです。
海から遠い安東では塩サバが有名!
世界遺産・安東河回村のある安東(안동)では塩サバが有名です。こちらは地図を見ると、「海から遠く離れているのになぜ?」と思うかもしれませんが、これにはわけがあります。
かつては東海岸の浦項(ポハン)や盈徳郡の江口(ガング)で水揚げされたサバを内陸の安東まで運搬する際に、交通手段が発達した今では1日かからずに運ぶことができますが、かつては数日かかりました。
サバをそのまま運んできて、魚が痛む直前に塩漬けにして食べたそうで、そうすることでサバが熟成されて美味しさが増すのだといいます。
そのため内陸なのにも関わらずこの地域では塩サバが名物になっており、この地域には安東サバを扱うお店がいくつもあります。
ここでひとつ、安東(アンドン)での食堂でのエピソードをご紹介しましょう。私が一人で焼魚を食べていたら、店を切り盛りするアジュンマ(※)が「自分の娘がソウルの大学に通っていて、今何歳で・・・」という娘自慢を始めました。韓国を旅していると、こういうことがよくあります。※アジュンマ:韓国語でおばさんを親しみを込めて言う言葉)
しかしそのアジュンマはとても親切で、ミカンを出してくれたり、米菓子を袋に詰めたりして持たせてくださったのを覚えています。
こんなふうに焼魚の店は一般の食堂よりも心なしか親しみやすさを覚えます。それは日本でも嗅ぎなれた香りだからなのか、焼魚の香りが心を落ち着かせるからなのか。
とにかく韓国のおかずとともに焼魚を食べるのもひとつの旅の楽しみになるのではないでしょうか。
そんな話はさておき、今では日本でも韓国地方特産品の安東の塩サバが買えるようになっています。以前も催事などでは販売されていた記憶がありますが、やはり日本では安東サバがあまり知られていないのが実情です。
以下のようなネットショップはもちろんのこと、韓国系スーパーの冷凍庫、催事などで見つけたら一度は手にとって購入し、熟成サバを味わってみるのもよいかもしれません。
安東カンコデュンオ|塩サバ(2匹・400g)(八道・楽天市場)
このように韓国では焼魚をわさび醤油につけて食べることが多いのですが、それはもちろんキムチやナムル類と一緒に召し上がることで、より韓国らしさを感じられて、美味しくいただけることでしょう。