チャパグリ(짜파구리)は、韓国インスタント麺の「ノグリ(너구리)」と、「チャパゲティ(짜파게티)」を混ぜ合わせた食べもの。

映画「パラサイト 半地下の家族(韓国語題:기생충-寄生虫)」でお金持ちの家族が韓牛入りのチャパグリを食べたシーンが映し出されたことにより、映画の世界的ヒットとともに一気に知れ渡りました。

ノグリ、チャパゲティともに韓国のインスタント麺としておなじみの辛ラーメン(신라면、シンラミョン)と同じ会社、「農心(농심、ノンシム)」から販売されています。

ノグリ(너구리)とは韓国語で「タヌキ」の意味。日本にはたぬきうどんがありますが、ノグリはうどんとラーメンが融合した商品。チャパゲティは韓国式中華料理のチャジャン麺(짜장면、チャジャンミョン)とスパゲティが合わさったものです。

チャパグリは韓国の軍人たちのあいだで生まれたレシピ。韓国ではインスタントラーメン(袋麺)が国民食として根付いており、軍隊では鍋を使わないインスタントラーメンの食べ方が生み出されたりと、サバイバルな環境のなかで、このようなインスタントラーメンの新しい食べ方が生まれています。参考:キムチ・チキン・即席めんが韓国で国民食になったワケ(海外ZINE、拙著)

以下ではチャパグリを実際に作ってみることで、作り方やトッピング、そしてこのサイトならではの韓国地方にちなんだ高級食材を使ったアレンジの方法をご紹介したいと思います。

農心(NONGSHIM)によるチャパグリ公式の作り方で再現

チャパグリは、もともと正しい作り方が明確にされていたわけではありませんが、映画がヒットしたあとの2020年2月にノグリラーメンとチャパゲッティの製造元である農心(농심、ノンシム)から公式動画が発表されています。これをもとにチャパグリを作ってみました。詳しくはあとで紹介する動画をご覧ください。

まずは深めの鍋に1100mlを沸騰させ、麺を2つ、それぞれのかやくを鍋に入れて4分30秒間煮込みます。

煮込んだ後はゆで汁を捨てますが、150ml残しておきます。チャパゲッティの粉末ソース1袋、ノグリラーメンの粉末スープ半分、チャパゲッティの調味油(そしてゆで汁)を加え、しっかり味を絡めつつ、弱火で30秒間炒めます。

すると出来上がり。チャパグリはとても簡単に作れます。詳しくは以下の動画をご覧ください。

※動画にはゆで汁の使い方が出ていない(!?)

チャパグリのスタンダードなトッピング~卵・チーズ

公式レシピではチャパグリのトッピング方法も紹介されています。ノグリの粉末の入れ具合によって辛さを調節できますが、多少の辛みを中和させるトッピングが有効です。

最もスタンダードなのは、目玉焼きをのせること。とろりとした黄身が美味しく感じられます。

韓国では辛いインスタントラーメンにスライスチーズをのせますが、チャパグリにのせてもおいしくいただけます。

このようにトッピングはそれぞれのお好みに合わせて試してみて下さい。

韓国地方の高級食材でチャパグリを作ってみる

映画『パラサイト 半地下の家族』では、お金持ちの家族が好んで食べていたチャパグリに牛肉が具材として入れられていました。その牛肉とは和牛ならぬ「韓牛(한우、ハヌ)」。韓国のブランド牛です。

そこで韓国の地方の話題をお伝えするこのサイトでは、韓国各地の高級食材をイメージし、牛肉、アワビ、カニといった独自のアレンジを加えたチャパグリを実際に作ってみることにしました。

韓牛入りチャパグリ(江原道・横城郡)

映画に出てきた牛肉入りチャパグリ。先に述べたように映画のなかでは韓牛が入っていました。韓国には韓牛の産地はいくつかありますが、平昌五輪が行われた平昌に隣接する横城(횡성、フェンソン)郡を中心とする地域が有名です。

韓牛は手に入らなかったので、一般的に販売されている牛肉で作ってみました。実際に作る場合はバラ肉ではなく厚切りのステーキ状になっているものを使うと、映画に近い出来栄えになります。写真は中央にグリンピースをのせてみました。

アワビ入りチャパグリ(全羅南道・莞島郡)

高級食材ということから思いついたのが「アワビ」。日本では生産量が減少し続けている養殖アワビですが、韓国南部に位置する莞島(완도、ワンド)郡の海では蝦夷アワビを養殖しています。参考:韓国産アワビのほとんどは莞島(ワンド)産(拙著)

今回使用したのは、韓国で煮つけられた缶詰のアワビ(100g、殻付き)。この商品は醤油と塩味がありますが、ここでは塩味を使っています。柔らかなアワビを適当な大きさに刻んで、麺と一緒に炒めます。

ゆで汁を加える代わりに、煮込んだ出汁を加えることで、アワビの味わいがより一層感じられ、おいしく仕上がります。ちょっと贅沢な使い方です。

輸入元:韓国のりジャパン アワビ缶詰販売先:楽天市場(YesMart) Qoo10(YesMart)(※醤油漬け缶詰は2020年7月現在、新大久保・ソウル市場、上野アメ横・二木の菓子等で販売されています。価格は実店舗を参考にしてください。)

カニ味噌入りの三色チャパグリ(慶尚北道・盈徳郡)

高級食材で思い浮かんだもうひとつが「カニ」。韓国の東海岸に位置する盈徳(영덕、ヨンドク)郡では、毎年3月ごろになるとズワイガニが獲れます。盈徳ガニは朝鮮時代に王に献上されたことがあり、韓国のなかでも有名です。

麺にカニの身を入れるのもよいかもしれませんが、ここではカニ味噌を使って、「三色チャパグリ」を作ってみました。公式の作り方では「ノグリの粉末スープは半分」とされているため、余った粉末をゆでた麺に絡めました。

それと同量の麺をズワイガニのカニ味噌にからめて盛り付けてみました。これでインスタ映えもバッチリ(!?)。

紅ズワイガニのカニ味噌は近年、韓国のコンビニのおにぎりの中身にも使われており、使い方にバリエーションがありそうです。

参考:韓国のコンビニのおにぎりに高級感!?~紅ズワイガニのカニ味噌が登場(拙著)

※韓国のカニ味噌は日本では一般販売はされていないようなので、国産など手に入るものを使ってください。

チャパグリのカップ麺も登場!(2020.10.06)

世界的な大ヒットを受け、2020年4月には韓国でチャパグリのカップ麺が登場。そして半年のタイムラグを経て日本でも販売されるようになります。

作り方は日本でよく見られるカップ焼きそばそのもの。熱湯を入れて4分間ふやかし、湯切り口からお湯を捨てます。そこに黒い粉末ソースと赤くて辛い液体ソースを混ぜて食べます。

かやくにはノグリにも入っているワカメに加え、タヌキ絵柄のかまぼこが入っており、この顔も可愛いので人気を集めそうです。辛さはチャパグリ公式の作り方よりマイルドな印象。あくまでも推測ですが、韓国版よりも多少辛さを抑えていることは考えられます。

通常のチャパグリは2人分作ることになりますが、これはひとり分なので手軽に食べられるのは良いところだといえます。

2020年10月6日現在、購入できる場所はファミリーマートの一部店舗、イオン系列のカフェランテです。(※カップ麺については2020/10/06に追記しました)その後、インターネット上でも販売されています。

LYLONjapan(楽天市場)では340円、5000円以上で送料無料。

「チャパグリ」が購入できるお店

チャパグリの材料となるノグリ、チャパゲッティは、単体で買うならカルディ、カフェランテなどの輸入食材店で購入するのが最もお得です。(いずれも税込価格でノグリが約120~130円、チャパゲティが約140~150円前後)※実際には取り扱っていない店舗もあります。

インターネットでは送料がかかるため、小売店での最安値よりは若干は高くなります。実際に調べてみたところ、ネットショップで購入する場合は20袋(各10袋)以上をまとめて買うのが確実に安いことがわかりました。それ以下の数量での購入は少し高くつきます。

BOBUSANG(楽天市場)では10+10個が税込2980円、20+20が税込5080円(いずれも送料無料)で販売されています。

※カップ麺の販売先についてはわかり次第、お伝えします。

独自のトッピング・アレンジでおいしく召し上がれ

韓国映画「パラサイト 半地下の家族」で世界的にも有名になったB級グルメ「チャパグリ」。メーカー公式の本物の味を試しつつ、独自のトッピング、アレンジでぜひおいしく召し上がってください(マシッケ トゥセヨ)。