初夏の季節、列車に乗り、江原道方面に出かけると、車窓に広がるのはトウモロコシ畑。背の高いトウモロコシが視界を遮るかのように、すくすくと育っている様子を目にします。
江原道では焼き畑により開墾した農地が多く、そこに植えられた作物がトウモロコシやジャガイモなのです。
江原道名物のジャガイモ
ジャガイモは、韓国語では「カムジャ(감자)」といいます。高冷地での栽培に適したジャガイモは江原道の名物として知られ、全国の約3割強が江原道で生産されます。
[ジャガイモ畑]
2018年オリンピック・パラリンピックが開催される平昌(ピョンチャン)を車で通ると、初夏の季節にはジャガイモ畑を望みます。遠くから眺めると、ジャガイモの花はとても小さく、緑の葉の上に、白い点がたくさんあるかのようです。
畑に近づいて花を眺めてみると、中央は黄色く、花びらは淡い紫、ピンク色を帯びた小さく可憐な花が咲いているのです。
[ジャガイモの花]
初夏の日差しの下に咲いた花は、小さくとも力強さが感じられますが、よく見ると非常に可愛らしく、ひとめぼれしてしまいました。
そんな江原道のジャガイモは6月中旬から末頃に収穫され、市に並ぶようになります。果たして名物のジャガイモは、どのように調理されるのでしょうか。
ジャガイモ料理を見てみよう!
カムジャオンシミ(감자옹심이)
下の写真は江原道・太白(テベク)市にある黄池自由市場のお店で食べた、カムジャオンシミ(감자옹심이)。ジャガイモのすいとんです。
大まかな作り方としては、まずジャガイモをすりおろし、ジャガイモの身の部分と、でんぷんを分離させます。それらを混ぜ合わせて、団子のようにしてから、煮干しや昆布の出汁のなかで煮て食べるのです。
「カムジャ(감자)」はジャガイモの意味。「オンシミ(옹심이)」とは、小豆粥やカボチャに入っている白玉、「セアルシム(새알심)」の江原道方言です。
[カムジャオンシミ]
温かなジャガイモのすいとん、たっぷりの汁でおなかも満たされて、しかもヘルシー。心もおなかもポカポカしてくる料理です。
カムジャジョン(감자전)
日本の韓国料理店では「じゃがいもチヂミ」の名でメニューに並ぶカムジャジョン(감자전)ですが、基本的に小麦粉は使いません。
ジャガイモをすりおろし、ジャガイモの身とでんぷんを分けたあとに混ぜ合わせるまでは、カムジャオンシミと同じ。それを味付けをしたあと、小さく小分けしたり、もしくはお好み焼きのように伸ばし、油をひいて焼きます。
[カムジャジョン]
こちらはソウルのマッコリ専門店で食べたカムジャジョンですが、創作料理のようにオシャレに盛り付けられています。食感は非常にモチモチしていて、一度食べるとヤミツキになる人もいるかと思います。わたしも大好きです。
カムジャトック、カムジャソンピョン(감자떡、감자송편)
下の写真は平昌(ピョンチャン)の食堂で、食事をしていたとき、サービスで出してくれたカムジャトック(감자떡)。カムジャソンピョン(감자송편)とも。こちらはジャガイモ餅です。
やはり、すり下ろしたジャガイモの身とでんぷんを混ぜ合わせますが、カムジャトックの場合は、中に餡(あん)を挟んで蒸します。
皮は透明で、小豆などのあんを挟むと下のように黒くなりますが、白いほうは栗あんなどを挟み込んでいると思います(※写真のモチに関しては不詳、一般的な説明です)。
[カムジャトック(カムジャソンピョン)]
いずれも甘さは控えめで、甘党の方には少し物足りないかもしれません。けれども食感はモチモチしていて独特なので、やはりカムジャトックも、好きな人にとっては、忘れられない食感となるに違いないでしょう。
可憐な花を想い、モッチリとした食感を愉しもう
江原道名物のジャガイモ。初夏の時期に江原道にやってきたら、畑に咲く花にも目を向けてみませんか。
もし花が咲く時期でなければ、江原道の広々とした農地を思い浮かべ、写真で見たジャガイモの花を想いながら、モッチリとしたジャガイモ料理を味わってみてください。いっそう美味しく感じられるはずです。
※この記事は韓国・江原道公式ブログに掲載されたものです。(2017/7)