今や韓国の焼酎、ソジュは日本のスーパーやコンビニでも並ぶようになりました。ドラマに登場する芸能人がソジュを飲んでいるシーンを見て、韓国料理とともに、または韓国にいる気分になってお酒を楽しんでいる方も多いのではないでしょうか。
最もシェアが大きい一般的なソジュ、チャミスル(참이슬)だけでなく、フルーツの風味が付いたフルーツ焼酎も人気を集めています。この記事では韓国のフルーツ焼酎のこれまでの流れを解説するとともに、料理に添えることはもちろん、人気のフルーツ焼酎の楽しみ方や一般的におすすめとされているフルーツ焼酎のあれこれをご紹介します。
甘くて飲みやすいからと言って、くれぐれも飲みすぎないようにご注意ください。
フルーツ焼酎はオシャレな居酒屋では飲めた:大学路・パンジョ
フルーツ焼酎は韓国語では”果実ソジュ(과일소주)”といいます。今ではソジュの瓶でフルーツフレーバーのソジュとして市販されていますが、商品化される前はオシャレな居酒屋で出てくるようなものでした。
ソウルの学生街・大学路(대학로)にある創作系居酒屋の「パンジョ」というお店ではスイカやメロンなどの果物をくりぬいたなかにソジュが入って出てくる形でした。
飲んでみるとフルーティーな果物の味が感じられるお酒で、クイクイと飲めてしまいます。こうしたお酒を創作料理とともに味わえる居酒屋です。
大学路は学生街であり、ミュージカルも行われる劇場街でもあり、飲食店でも若者に人気のメニューがあったり、古くからの学生街として街に根差した珈琲店があったりする街です。参考:演劇の街・大学路(テハンノ)~ミュージカルにカフェにと素敵なひとときを
2015年に韓国でフルーツ焼酎(カクテル焼酎)が流行!
商品としてのフルーツ焼酎は2015年春に韓国で登場し、女性を中心に人気を集めました。同年3月にロッテ酒類から柚子風味の「チョウンチョロム スナリ(순하리)」が発売となり、それに続いて釜山・慶尚道を中心とする酒造メーカーの舞鶴(ムハク)からは「ジョウンデー カラーシリーズ」が発売されたのが始まりでした。
[チョウンチョロム スナリ(柚子)写真は筆者友人提供]
しかしながら日本では、すでに韓国のフルーツ焼酎が発売されており、韓国でフルーツ焼酎が販売される前にウリスルジャパンが「りんごからつくったみかんのリキュール」という商品を韓国系スーパーなどで販売していました。
その後はジョウンデー、C1と各メーカーがフルーツ焼酎をリリース。この年の秋の釜山の屋台ではこんなふうに、フルーツ焼酎が並べられている光景を目にしました。
その釜山の屋台ではおつまみにフルーツが出てきました。韓国ではお酒のあてにフルーツが出てくることがありますが、フルーツ焼酎と一緒ならばますますフルーティーに味わえるというわけです!ご自宅でもお試しあれ。
そしてその後2015年10月には新大久保のスーパーでもお店に並ぶようになり最初は1本500円程度でしたが、300円ほどに落ち着きました。それからは新大久保を中心とする韓国系スーパー、ネット販売で購入できるような状況でしたが、2020年コロナ禍以降はコンビニやスーパーでも目にするようになったのです。
カラマンシーブームに乗って
2018年頃に韓国ではカラマンシーブームが起き、ビタミンCが豊富で美容にも良いことなどから、お菓子や乳酸菌飲料などでもカラマンシーを含んだ商品が販売され、ソジュでもカラマンシー味が発売されるようになりました。そのなかでジョウンデーのカラマンシー味が発売されました。
柑橘類で爽やかな風味ですが、オレンジやグレープフルーツなどとは異なるカラマンシー独特の風味が含まれており、これまでとは異なる風味が楽しめます。これも日本のディスカウントストアやスーパーなどで販売されています。
2020年以降のフルーツ焼酎
それからはとくに一般に浸透することはありませんでしたが、2021年以降はチャミスルのマスカットをはじめ、各種フレーバーがコンビニやスーパーでも販売されるようになり、今やかなり手軽に手に入るようになりました。
当初はJINROのチャミスルでしたが、全羅南道の会社・宝海のイプセジュのほか、スーパーやディスカウントストアではフレーバーも豊富に用意されており、韓国では販売されていないと思われるソジュも日本のお店に並ぶようになっています。
氷を入れてロックで。日本ならではの新しい飲み方?
韓国のフルーツ焼酎はアルコール度数が13~14%程度でワインと同じくらいです。ワインと同程度であればそのまま飲んでもよいのですが、少々キツいと感じる方も多いと思います。
そんなこともあってか、チャズル(The 찾을 수록)は「氷を入れたグラスにそそぐだけで」という文言がプリントされており、ロックで飲むことを推奨しています。
焼酎をストレートで飲むことは避ける日本ならではなのかわかりませんが、他のフルーツ焼酎をこのように飲んでもよいのではないかと思います。
ミントチョコ
韓国では2021年頃にミントチョコ(민트초코)の商品が増え、そういったお菓子なども販売されるようになりました。その流れのなかでミントチョコ味のソジュも販売されるようになっています。ジョウンデーのミントチョコ。こちらは日本では「チョコミント(초코민트)」という表記で販売されています。
ミントの清涼感にチョコレートの甘味が含まれているという謎めいた味で、好き嫌いが分かれるようです。実際は話のネタとしてもデザート感覚としても楽しめるお酒です。
ただ何かの料理に合わせるというより、ケーキやお菓子などと一緒に楽しんだらよいのではないかと個人的には思います。いちどはお試しあれ。
アメリカーノ
ここまで出てくると、もはや何を狙っているのかわからない次元に突入しています。焼酎をコーヒーで割るのをイメージしたのでしょうか。アメリカーノ味。
コーヒーの味で焼酎を楽しむというのもあると思いますが、このチャズルはコーヒーの味に加えて、リンゴの風味が加わるので少し独特な味だといえます。これは韓国のお酒を扱うスーパーで販売されています。
まずはネタとして楽しんでみて、意外にイケると思う方は、再購入してみてもよいのではないでしょうか。
度数が高いから飲みすぎには気を付けて
このように様々なフルーツ焼酎、さらにはデザートのようなソジュが発売されており、ここ数年のフルーツ焼酎の変遷や普及についてお伝えしてきました。
このようなフルーツ焼酎は低いものでもアルコールが12%以上あることが多く、甘いためについ飲みすぎてしまうという危険性があります。
お酒を適度に楽しむのは問題ないとされていますが、なるべく空腹の状態で飲むことは避け、くれぐれも飲みすぎないように節度をもって楽しむようにしてください。