韓国で庶民に親しまれている屋台料理のひとつが「オデン(오뎅)」。これは日本統治時代に日本から韓国に流入して定着した食べ物です。
韓国では「オデン(오뎅)」といっても、日本人が想像するような鍋料理ではなく、魚の練り物そのもののことを指します。韓国語では魚の練り物、固めたものという意味から「オムク(어묵)」とも呼ばれています。
韓国式おでんの本場は釜山(プサン)
韓国のおでんの本場といえば、日本にも近い港町・釜山(부산、プサン)。1920年代にはオムクが釜山の市場で売られていた、という記録が残っており、その当時から韓国で親しまれていたことがわかります。
釜山のおでんは魚の練り物だけではなく、餅やコンニャク、その他の食材が入っていることがあり、具だくさんなのは日本にもよく似ているところ。日本とも距離が近い都市だということを感じさせてくれます。
この記事では釜山に行けずとも、自宅で「釜山おでん」を作って味わってみようというもの。実際に韓国式の「オデン」を用意して、実際に作ってみます。
釜山おでんのレシピ~できるだけ本場に近づけよう
調理する際は「釜山おでん」そのものというよりも、韓国で「オデンタン(오뎅탕)」といわれる「おでん鍋」のスープを作り、そこに魚の練り物やお餅、コンニャクなどを入れて、できるかぎり釜山風にしてみようというものです。
まず最も重要なのはメインである「オムク(魚の練り物)」を用意すること。これは韓国のものを使うようにします。
2020年8月時点ではカルディなどの輸入食材店ではほぼ販売されていないために、コリアンタウンの韓国系スーパー、もしくはオンラインで購入する必要があります。生ものですので通販の場合は必ずクール便での配送になります。
※「おでん」に関してオンラインで安いのは「韓国広場」(Yahoo!ショッピング)で、まとめて購入できます。
続いてスッカラン(楽天市場)、八道韓国食品(楽天市場)で比較的手ごろな価格で販売しています。
オムク以外は日本国内で買える食材でよいかと思います。以下では一般的な作り方を簡潔に示すものですので、詳しいレシピは韓国の動画、サイトなどを参考にしてみて下さい。あとは味覚の記憶に頼りましょう。
おでんのスープを作ってみる
実際におでんのスープを作ってみます。以下の材料を準備してください。
●スープの材料
1.昆布or煮干し(両方でもOK、その他カニなども)
2.玉ねぎor長ネギ(両方でもOK)、大根
3.青唐辛子(or赤唐辛子、もしくは両方)
4.塩、醤油(うすくち醤油or韓国の汁醤油)
5.海鮮エキスまたはあさりダシorイワシダシダ(韓国だしの素)
昆布(煮干し)を煮こみ、ユクス(육수)といわれる出汁を作り、玉ねぎ、大根を入れて煮込みます。その際に青唐辛子(例えば1本など)適量入れることがポイントともいえます。韓国のオデンスープは透明なのにピリ辛なのです。
スープが十分に出るまでしっかり煮込み、塩適量を入れて味付けします。その際には海産物の素材のダシダ(牛肉ダシダは不可)を加えてもよいかと思います。筆者はあさりダシダを使いました。最後に色付け程度の量の醤油を入れれば出来上がり。
細かい分量までは記載しませんが、韓国で食べた味を思い出しつつ、味見しながらスープの味を調えてみましょう。
小鍋で釜山おでんの具材を煮込む~餅やコンニャクも
今度はおでんの具。冷凍になっているオムクを解凍し、縫うようにしながら竹串に刺していきます。
ソウルでは四角いタイプのオデンが串刺しされたものをよく見ますが、釜山周辺では棒状のタイプのオデンもよく見かけます。もし手に入ったら解凍して串にさしてみましょう。
そして釜山おでんならではのお餅。本来ならムルトッ(물떡)とよばれるおでん用のお餅を使いますが、これは日本では手に入りません。
そのため輸入食材店などで市販されているトッポッキ(떡볶이)用のお餅を少し柔らかくしてから串刺ししましょう。コンニャクも適当なサイズに切って串刺しに、白コンニャクのほうが韓国おでんらしいかも。
作っておいたおでんスープを小鍋に入れて、串刺しにした具材を入れて煮込みます。オムクはだんだんと水分を含んで膨張していくので、食べるときには十分おなかにたまる量になるでしょう。
おでんのタレは薬味醤油。醤油をベースに、玉ねぎや長ネギ、ニンニク、粉唐辛子などを入れて作ります。一般的なレシピでは酢や砂糖を少量加えているものもありますが、酸味、甘味はそこまで強くはありません。これも現地の味を思い出して、お好みで調整してください。
そしてテーブルのうえでセッティング!ここに韓国焼酎やマッコリを添えると、本場韓国の屋台らしくなります。
そして釜山おでん関連商品を見てみましょう。
韓国ではおでんコロッケ、おでんバーなるものも
庶民的な料理として親しまれているおでんですが、2013~2014年頃にかけて再ブレイクを遂げるのですが、その名もオムクコロッケ(어묵고로케)。練り物に具材を入れ込み、油で揚げたものです。
この前に「コロッケ(고로케)」という名の揚げパンがおやつとして流行しており、それを受けたヒット商品です。1953年創業で老舗のサムジンオムク(심진어묵)という会社が始め、その後ほかの会社でも販売するようになりました。
そしてサムジンオムクも日本での販売を何度か試みてはいるようですが、オムクバーなど手軽な商品は食べやすく見込みがあるのかも。
まだ継続的な販売には至ってないようですが、日本のおでんとは異なる「釜山おでん」の認知度が高まれば、今後販売される可能性はあるのかもしれません。この記事もその一助になればと思います。
釜山の名物、釜山おでんを自宅で楽しんでみて
日本から韓国に流入した釜山おでん。その歴史は100年に達しようとしています。
韓国のおでんといえば、魚の練り物だけが基本ですが、このように釜山の周辺だけは練り物の種類も多様で、餅やコンニャク、そのほかの具材が入っています。
そんな釜山おでん、釜山の風景を思い起こしながら、ぜひ自宅で作って味わってみて下さい。