日本国内のコンビニ「セブン-イレブン」で「韓国グルメフェア」が2023年5月9日から期間限定で、大々的に開催されています。
キンパ(海苔巻き)、プルコギ丼、ユッケジャンラーメン、タルゴナコーヒー、インジョルミなど、本格的かつ韓国の多彩なグルメが並んでいます。
日本の消費者がコンビニに対して求めるレベルはそれなりに高いため、ある意味では「韓国のコンビニで販売されるよりも美味しい商品が並ぶ」という期待が感じられました。
地方の名物を取り入れた2つのおにぎり
当サイト「韓旅市場」では、韓国の地域にちなんだ商品を取り上げることとし、「手巻きおにぎり全州ビビンバ」「かに味噌醤油まぜめしカンジャンケジャン仕立て」の2点をご紹介します。また付け合せとして「シャキッと長芋入り味わい3種キムチ」を購入しました。
まずは包みを開いてお皿に載せてみます。お皿にのったおにぎりのうち、左が「手巻きおにぎり全州ビビンバ」、右が「かに味噌醤油まぜめしカンジャンケジャン仕立て」。ともに180円+税、税込194円です。
手巻きおにぎり全州ビビンバ
韓国の西南部に位置する全羅北道・全州では全州ビビンバが名物。ソウル・龍山駅からはKTXを利用すると2時間ほどでアクセスできます。参考:全州
韓国の米どころである湖南平野に位置し、西には黄海、周囲には山脈ありの肥沃な土地で、食材に恵まれた都市です。そんなことから「全州ビビンバ」に乗る食材は20種類以上ともいわれます。
[全州・盛味堂のビビンバ]
全州ビビンバは韓国国内で非常に有名な地方料理なので、韓国のコンビニでも「全州ビビンバ(전주비빔밥)」という名で、ビビンバ風のおにぎりが販売されています。
単なる「ビビンバ」として販売するよりも、全州と掲げるほうが格式が高く感じられ、購買意欲をそそられるからなのかもしれません。それもやはりコチュジャンが混ぜられたおにぎりです。
今回のキャンペーンのセブン−イレブンの「手巻きおにぎり全州ビビンバ」は、ごま油と塩が含まれた「韓国風海苔」で巻かれ、冷めても美味しく作られており、その点では期待どおりです。お値段は韓国より高めの設定です。
牛肉のほかに大根、ニンジン、小松菜、ぜんまいのナムルが入っており、色とりどりの全州ビビンバを思わせる点でイメージはぴたり。
日本で販売するだけあって、コチュジャンの味が強くなく、辛さをあまり感じないところは、現地の韓国料理に慣れている人からすると、多少の物足りなさもあるかもしれませんが、味としてはそれなりに美味しいおにぎりだといえます。
かに味噌醤油まぜめしカンジャンケジャン仕立て
もうひとつはカンジャンケジャンをイメージした、かに味噌醤油まぜめしごはんのおにぎりです。
カンジャンケジャンとはワタリガニを醤油漬けしたもの。ワタリガニはちょうど春過ぎに遠浅の韓国の西海岸、黄海で旬を迎えます。カンジャンケジャンは今では日本でもよく知られる韓国料理になりつつあります。
[韓国西海岸から直送の一味カンジャンケジャン(東京人形町)]
そんなカンジャンケジャンは、韓国ではごはんと一緒に食べると箸が進んで、止まらなくなることから「ご飯泥棒(밥도둑)」と呼ばれます。かに味噌や卵、醤油もご飯に絡めていただくのがこの料理です。
ただ韓国ではカンジャンケジャンのコンビニのおにぎりはあまり見たことがありません(もはやないかもしれません)。
ちなみに紅ズワイガニのかに味噌を使ったおにぎりは韓国でも登場しています。韓国のコンビニのおにぎりに高級感!?~紅ズワイガニのカニ味噌が登場
韓国料理の海鮮料理として日本でポピュラーだからこそ、「カンジャンケジャン仕立て」としたのでしょう。カニ味噌が混ざったためか、マイルドな醤油な味わいにはなっていますが、そこまでかに味噌の風味は強くないというのが食べてみた印象です。
なかにはぷつぷつとした小さな卵が入っていて、カンジャンケジャンの混ぜごはんを思わせますが、原材料には「葱入りたらこマヨかに和え」と書かれており、カニほぐし身のほかに、タラコとマヨネーズが含まれているようです。
雰囲気として、カンジャンケジャンのおにぎりと考えればよいでしょう。それなりに美味しいとは感じたので満足です。
韓国の「地方」の味までもが伝わるキャンペーン
ここでは地方にまつわるグルメを紹介しましたが、「韓国グルメフェア」では韓国観光公社公認という様々なグルメが揃っています。
これはあくまでも推測ですが、セブン-イレブンなど国内業者のみが関わって販売されたものであれば、「全州」のような場所を示してのビビンバが登場したかどうか、という点は疑問です。
韓国観光公社の監修により、キャンペーンのホームページで料理の説明、その場所にちなんだ話がされているという点で、韓国の街や地方への道筋が示されたような気がします。