メセンイ(매생이)という海藻を召し上がったことがあるでしょうか。粥やスープの素材として使われるとても細い海藻で、南海岸で冬の季節に旬を迎えます。日本語ではカプサアオノリといいます。


[メセンイと牡蠣のトックッ(雑煮)]

最近日本にもメセンイが正式輸入されており、メセンイの広報のためのイベントとして、10月26日に目黒区緑ヶ丘の趙善玉料理研究院で韓国水産物(K・FISH)料理教室が行われました。参考:K・FISHとK-SEAFOODについて

 

メセンイとはどんな海藻なのか?

この料理教室で使ったメセンイは全羅南道の長興(장흥)郡の水協の商品であり、古くからこの地域の特産品として王にも献上されていましたが、長興の周辺地域や慶尚南道の一部でもとれるようです。

メセンイは冬によく育つ海藻で、12~2月頃に旬を迎えます。ただし今では冷凍やフリーズドライが出回っているため、季節関係なく見られます。 

メセンイには5大栄養素のすべてが含まれ、なおかつ高タンパクの食品であり、ビタミンではAやC、そのほかにカルシウムや鉄分などが含まれています。

韓国では朝食に酔い醒ましスープのヘジャンクク(해장국)が好まれますが、まさにそういった場面にも適しています。参考:韓国の朝食は菜食主義? お酒好きも酔い覚ましスープで健康的に(拙著、海外ZINE)

メセンイを調理してみます

ここからはメセンイ料理教室(実演のみ)の様子をお知らせしながら、聞いた話を中心にまとめます。

市販されている冷凍メセンイを調理する前には、不純物などを洗い流すための下処理をします。ここでは塩水にしばらくつけておき、指で洗ってザルに入れ水気を切ります。

もし1度では使い切れない場合には洗ったあとに小分けして冷凍しておくとよいそうです。

まず手軽に作れそうなのがメセンイの卵焼き。こちらはメセンイを塩で味付けした溶き卵に絡めて焼くだけ。

実演してくださったのは、趙善玉料理研究院の趙善玉院長と星野さん。

メセンイを卵に絡めて焼くだけでも美味しく食べられますが、見栄えをよくするためにその上から卵焼きを巻くとさらにきれいな仕上がりに。

出来上がったのがこちら。とにかく青々と細いメセンイが黄色い卵に贅沢に包まれ、鮮やかなコントラストの完成。きれいに作れれば芸術品です。

そして卵焼きの隣で焼いているのは、メセンイと干しタラのチヂミ。こちらは小麦粉を水で溶かして塩で味付けし、干しダラとメセンイを混ぜ合わせ、油をひいて焼きます。

出来上がったメセンイチヂミ(매생이전)がこちら。表面はカリッと仕上がって、ほどよいもっちり感があります。家ではうまく焼けるかどうか。

そして次にメセンイ粥(매생이죽)。玉ねぎをみじん切りにして韓国粥らしくごま油で炒め、酒や醤油を加えて味付け。そして吸水させた米を煮込んで、最後にメセンイを加えます。

こちらが完成したお粥。ごま油の香ばしさが漂い、メセンイの食感を存分に感じられます。食感自体はとろろ昆布に近いですが、こちらは海が作り出す天然の細さであり、加工されたとろろ昆布のように酸味があるわけではないため、より上品な味わいです。

料理教室ではこのほかメセンイと牡蠣の雑煮が実演されましたが、メセンイを使った料理は多様で、韓国のおこしであるサルカンジョン(쌀강정)のほか、メセンイを使ったきな粉餅、インジョルミ(인절미)もありました。

メセンイはどこで購入できる?

さてこのメセンイは韓国の市場やスーパーでも売ってはいますが、日本国内では稀に韓国スーパーで販売していることもあるにはあります。

ただしメセンイ自体あまり知られておらず、韓国で食べたことがあって知ってはいても調理法を知らないため、見つけても敬遠してしまうことがほとんどではないかと思います。

現在、日本では通販で冷凍食品(またはフリーズドライ、この場合は味わいが異なるそうです)として購入する方法しかなく、このように正規輸入品だと少し値が張ります。

そんな状況ではありますが、試しに食べてみたいという方は購入されてみてはいかがでしょうか。こちらは長興郡水協の「長興郡メセンイ」です。

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5大栄養素すべてが含まれており、健康に気を使う方にも非常によいとされるメセンイ(カプサアオノリ)。韓国の南海岸に出かけた気分になって味わってみてはいかがでしょうか。